

夏季オリンピックとサッカーワールドカップと並んで、世界三大スポーツイベントに数えられるツール・ド・フランス。盛夏のフランス全土を舞台に、3週間に渡って行なわれる世界最大の自転車ロードレースだ。連日200km近い距離を走り、時には標高2600mを越えるような峠も登場。3週間で走り抜く距離は3500kmに及ぶ。

1903年に第1回大会が開催され、今年で開催97回目。ロードレース最高峰の地位を確立しているツールには、世界各国から選りすぐりの精鋭たちが集結する。その雄姿を一目見ようと、沿道に集まる観客は1500万人。その人気はフランス国内にとどまらず、レース映像は世界約190カ国で放送。その視聴者数は45億人に達する。
平地をハイスピードで貫く平坦ステージや、アルプスやピレネーの雄々しい山々を越える山岳ステージ、そして個々の力量が試されるタイムトライアルなど、毎日違ったレースが展開する。毎年コースが変更されるため、一つとして同じレースは無い。本来「フランス一周」を意味するレースだけに、地域によって変化する美しい景色も魅力の一つだ。

ツールにおいて最も誉れ高い究極のジャージが、フランス語でイエロージャージを意味するマイヨ・ジョーヌ。毎日のゴール時間を積み重ね、その合計時間が最も少ない選手のみがマイヨ・ジョーヌに袖を通すことができる。マイヨ・ジョーヌは全ての自転車選手の夢であり、一日でもこのジャージを着れば翌日からヒーローだ。最終日にこのマイヨ・ジョーヌを着ていた者が、ツールの総合優勝に輝く。
毎日のステージ優勝や、山岳に強い選手を対象にした山岳賞、ゴール前の迫力バトルで勝利を狙うスプリンターを対象にしたポイント賞など、総合優勝以外にも栄光のタイトルが数多く存在。様々な思惑が交錯しながら、プロトン(選手の集団)はフランス全土を駆け回る。そこには、出場する180人180色のドラマが詰め込まれている。



ツールの象徴ともいえる個人総合時間賞のリーダージャージ。真夏の太陽に映える黄色は、ジャージ導入当時のレース主催新聞の色に由来しており、現在では大会のイメージカラーとして定着している。ステージ毎のゴール時間を毎日積算し、合計時間が最も少ない選手にこの栄光のジャージが与えられ、最終日パリにゴールした時点でマイヨ・ジョーヌを着る選手が大会の総合優勝に輝く仕組み。総合優勝者の賞金は45万ユーロだ。2004年には大逃げを成功させた当時25歳のトマ・ヴォクレール(フランス)が10日間着用しフランス国内で絶大な人気を博した。

フランス語で「グリーンジャージ」を意味するポイント賞ジャージ。総合優勝争いに絡めないスプリンターのためのジャージで、いわば最強スプリンターの証だ。ゴールと中間スプリントポイントの着順に応じた獲得ポイント(例:平坦ステージ1位35ポイント、山岳ステージ1位25ポイント、中間スプリント1位6ポイント)の合計で争われる。しかしいくらスプリンターとしての実力が突出していても、厳しいピレネーやアルプスの山岳を越えて最終日パリまで辿り着かなければ栄光は無い。ポイント賞獲得者に与えられる賞金は2万5000ユーロ。

フランス語で「赤玉模様のホワイトジャージ」を意味する山岳賞ジャージで、略して「マイヨ・ア・ポワ」。レースに登場する峠や山は、その難易度に応じて超級から4級までの5つにカテゴリー分けされており、山岳通過順位に応じた獲得ポイント(例:超級山岳20ポイント、4級山岳3ポイント)の積算で山岳賞は争われる(頂上ゴールの場合はポイント2倍)。山岳賞の賞金は2万5000ユーロだ。序盤のステージで山岳ポイントを獲得すれば、ジャージを着るチャンス。2005年と2008年にはトマ・ヴォクレール(フランス)が初日にジャージを着用している。

フランス語で「ホワイトジャージ」を意味する新人賞ジャージ。日本では「新人賞」として定着しているが、対象選手は新人の選手だけではなく、同年1月1日の時点で25歳未満の選手たち。つまり今年は1984年1月1日生まれ以降の選手が対象となる。いわば若手選手対象のマイヨジョーヌであり、将来有望な若手選手によるもう一つの総合争いが繰り広げられる。新人賞獲得者に与えられる賞金は2万ユーロ。Bboxブイグテレコムのトマ・ヴォクレール(フランス)は、2004年にマイヨジョーヌを手放した後、4日間マイヨブランを着続けた。